電動アシスト自転車・eバイクのアシスト力はどうやって決まる?
電動アシスト自転車・eバイクでの「走りやすさ」を決めるアシスト力。どうやって決まるのか、法令に準拠しているかをどうやって確認するのかを解説します。
公開日: 2024.10.31
電動アシスト自転車・eバイクの「アシスト力」は法令で決まっている
電動アシスト自転車・eバイク(以後、eバイクも電動アシスト自転車で統一して解説)で日本の公道を走行する場合、道路交通法で定められた基準を満たしている必要があります。
一部を除き、日本メーカーや日本で販売をするeバイクメーカーはこの法令の基準に沿った、電動アシスト自転車・eバイクを販売しています。
アシスト比率の制限
電動スクーターなどと違い、電動アシスト自転車はあくまで「ライダーのペダルを漕ぐ力を補助する」乗り物です。その補助する割合を「アシスト比率」と呼びます。
アシスト比率が0であれば、アシストがされずライダーは自力で走行していることになります。逆に、アシスト比率が100%であればライダーが漕がなくても進むことになります。
「道路交通法」では、電動アシスト自転車の動力アシストは、
- 時速10km以下: 人がペダルを漕ぐ力の2倍まで(アシスト比率1:2)
- 時速10〜24kmまで: 2倍から、速度が上がるにつれてアシスト力を減少
- 時速24km超え: アシスト機能を完全に停止(アシスト比率1:0)
※ 2008年以前の電動アシスト自転車は、旧基準のため最大アシスト比率が1:1
と定めています。
アシスト制御
道路交通法では、アシストはペダルを漕ぐ力に応じたものとし、ペダルを漕がずにモーターが動作する(自走する)ことはアシストとはされていません。
モデルごとのアシスト力に違いはある?
アシスト力と走行可能距離とバッテリーの関係
電動アシスト自転車では、設定時速に到達するまでの必要パワーが、車体重量や乗車する人の体重によって異なります。
例えば、スポーツ自転車のような10kg前後の軽い車体の電動アシスト自転車と、30kg近い子供乗せ電動アシスト自転車では、後者の方がアシストするためにパワーが必要ですし、同じ電動アシスト自転車でも、40kgの人が乗ると100kgの人が乗るのでは必要なパワーが異なります。
一方で、電動アシスト自転車では「アシスト走行可能距離」も非常に重要な要素です。しかし、アシストにパワーが必要になるということは、同じバッテリー容量で比較した場合、アシスト距離が短くなってしまいます。
これに対処するためには大きなバッテリーを搭載しなくてはなりませんが、バッテリーが巨大化すると重量も価格も上がります。メーカーはこの辺りのバランスをとって、アシスト力を決めているため、アシスト力が必ずしも同一ではないのです。
アシスト力が高い電動アシスト自転車はある?
法令に準拠している場合は「基本的にはない」
法令に準拠している電動アシスト自転車では、「アシスト力が法令の規定よりも高い」ものは基本的に存在しません。
先ほど解説した通り、走行可能距離の兼ね合いからアシスト力を弱く設定している電動アシスト自転車はあるため、「アシスト力が弱い電動アシスト自転車よりもアシスト力が相対的に高い」ことはありますが、あくまで法令で設定されたアシスト力の範囲内での話です。
車体によっては「モーターパワーがXXXワットのハイパワー」などの宣伝をしているケースもありますが、アシスト力という観点では、法令に準拠している限りはどんなモーターを使っていてもアシスト比率は最大2倍でそこから減衰し、時速24kmで0になるというのは同じです。
法令に準拠していない場合
法令に準拠してせずにアシストをする電動アシスト自転車の場合は、アシスト力が高いケースがあります。
例えば、
- アシスト比率が速度に関わらず一定(例:常に2倍のパワーでアシスト)
- 時速24kmを超えてもアシストを継続する
- アシスト比率が2倍以上
- ペダルを漕がずにモーターで走る
といったケースです。
これらは法令に準拠している電動アシスト自転車よりもアシスト力が高いですが、いづれも原付バイク扱いになり、自賠責保険の加入や免許証の携帯など、原付バイクと同様の義務が生じます。
なお、公道で法令に準拠しない電動アシスト自転車に乗車した場合は、販売者ではなく乗車した者が罰せられるため、注意しましょう。
アシスト力が法令に準拠しているかは「TSマーク」を確認するのがベスト
では、法令に準拠した電動アシスト自転車をどうやって判別するかというと、国家公安委員会が行なっている型式認定を通過した証である「TSマーク」を確認するのがベストです。
TSマークを取得した電動アシスト自転車は、車体にTSマークを表示することができるため、TSマークがあればまず安心です。
仮にTSマークが表示されていなかったとしても、型式認定された車体は指定試験機関である(公財)日本交通管理技術協会のHPに掲載されているため、そこでチェックすることも可能です。
型式認定対象品検索ページを確認するとわかりますが、大手メーカー以外でも、きちんとTSマークを取得した電動アシスト自転車はたくさんあります。
ですが、一部の知識のない者によって販売された違法電動アシスト自転車(原付バイク)がネット通販やフリマで販売されてしまっているのも実情ですので、買った後に「電動アシスト自転車ではなかった」とならないように、購入前にTSマークの有無をしっかりとチェックしましょう。